2023年7月、悪鬼流の新シーズンが始まった。
これが新しいルールです。

タメロンの横行
悪鬼流の教えには「できる限りタメてロンせよ」というものがある。
これにはまずその手が「本当に和了しているか」や「点数申告はできているか」「フリテンではないか」などといったことをしっかり確認してから和了するのが良いという考えからだ。また突き詰めると「今本当にその和了が必要なのか」「ツモにかけて見逃す価値はあるか」「ロンした後の点数状況はどうなるか」などを熟考せよ、という意味でもある。
いつしかそういった概念は消え去り、溜める動作もどんどん挑発的になり最終的には「シュウ~~~」と言いながら両手をその牌に向けて伸ばしたり、腕を組んで10秒以上モゴモゴしたりとどんどん荒れていった。溜められる側もまるで北斗の拳ACでバスケをされているかのごとくスマホをいじりだしたり、点数を払う準備を先にしだしたりと卓上の治安は悪化していった。
タメロンをする者は特定の雀士に集中し、タメロンをされる側の気持ちが理解できていなかった。
タメロンを重視したルール
そんな中で登場したのが今回のルールである「卓場の三秒(スリーカウント)」なのだ。
「爆ロン」と銘打ったタメロンの正式化、タメロンの際の動作を細かくルールに記載し3秒以上という最低条件も加えた。拳を時限爆弾に模した形で捨てられた牌の近くで「シュウ~」と言い続ける、親指を導火線のように少しずつ曲げていくのが上手く魅せるコツだ。
この「爆ロン」に成功するとチップが2枚もらえる。麻雀の点数にして2000点となるわけだ。役牌のみの和了なら断然やって得なのである。
「チン(鎮)」という発声がこれを阻止することができる。通常のルールでもタメている間に「ポン」などの鳴きが入ると発声優先のルールから「やっぱりロンでした……」なんてことはできない。タメロンにも実はリスクがあるのだが、それを表面化されるためのルールが「チン」である。
「シュウ」に関しては上家以外に対しても一時的にツモ番を止める効果があるため、対面などに対してもタメロンが可能となっている。通常ルールでは対面にタメようが上家がツモ牌を取ることで手番が進むので難易度が高い。しかし、上家以外の捨て牌に「シュウ」をするのは「チン」のリスクが以外と高いのだ。また「誤シュウ」の定義により「シュウ」に対して「チン」できる場合は「チン」するのが最善手となっているため、今まで以上にタメロンがリスキーになっている。
「シュウ」を「チン」されてしまった場合は、見逃したことと同義になり以降はフリテン扱いとなる。
実際に「爆ロン」はどれぐらい発生したのか
ほぼ全ての和了が「爆ロン」になると想定していたが、実際にこのルールでやるとそこまで「爆ロン」は横行しなかった。普段タメロンをやりなれている雀士たちがこぞって「シュウシュウ」といい、プラス2000点を獲得していくという対局風景が見られた。
「シュウ」という動作にリスクがあるという説明書から、過剰に警戒してしまい大物手の場合は通常のロンをするという雀士が多かった。このルールでは通常のロンももちろん認められており確実性がある。0.1%でも「チン」される可能性のある「爆ロン」というのは大物手の見逃しを連想させてしまうのだろう。
ルール理解度の高い雀士は「シャンポン待ち(字牌、上家)」など「チン」される可能性が無い待ちを積極的に「爆ロン」していきチップを稼いだ印象である。
クロスボンバーロン
「チン」の代わりに「ロン」をしてしまうのが「クロスボンバーロン」である。相手のタメロンをこっちのロンで潰すという最高に気持ちいい形だ。
このルール説明書には記載されていないがこの「クロスボンバーロン(正義のロン)」が成立した時点でこの「卓場の三秒(スリーカウント)」シーズンが終了する予定でもあった。
爆弾魔が地上300mの最上階に作られた雀荘に設置された卓に爆弾を仕掛けた設定であり、この爆発を止めることがストーリー上の事件解決であったからだ。残念ながら我々悪鬼流のケースでは爆発を阻止することができなかった。
1日限りだったが効果はあった

このルールは一種のドッキリである。新ルールということで「変な動作」にしっかりとした演技指導が入ったり、「チン ポン」という発声などの放送限界用語に挑戦したりとヤバイ部分が多かった。
1日限りの特殊ルールということで幕を閉じたこの「卓場の三秒(スリーカウント)」だが、正式に悪鬼流麻雀の1シーズンでもあり短期決戦ながら優勝者も決定された。
なお、このシーズン開催により全体的にタメロンが減ったものの、最近では「スライドロン」なるものが出てきており悪鬼流のマナーの良さは目を見張るものがある。
※スライドロンとはロン時に自分の手牌を上家や下家の前まで持っていき倒す行為、最近では対面までスライドするため上家や下家が一時的にサポートすることもある。見た目上振り込んだ者がアガったかのような形になるため「おめでとう」と付け足す者もいる。

悪鬼流麻雀においてルール無用の「トイトイの構え」を編み出し、数々の大物手を蹴ってきた実績を持つ。トイツ濃度という考えを独自に進化させ、立直者に対しては決して楽をさせない打ち筋を選ぶ。座右の銘は好牌先打・尖張牌。
好きな役は「対々和」好きな雀士は「土田浩翔」



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